【幼虫】5話〜高校進学〜

「君、吹奏楽部に入らない?」

 私は両親や祖父母が望んだ地元の進学校に無事入学した。倍率1倍ちょっとで同じ中学校の人間が5割以上受験するといった条件下で試験に落ちる訳はなかった。

 ただ両親、祖父母などは皆泣いて喜んだ。合格発表の際に泣き崩れる友人がいたが、私は冷めた気持ちで遠くからそれを眺めていた。

 高校では吹奏楽部に入部した。運動部に入ろうと考えていたが美人な先輩に誘われ、何となく吹奏楽部に入りサックスを選択した。この頃から人に流され、こだわりも無く過ごす日々が始まっていた。

 入学して間もなく同級生の吹奏楽部の彼女ができた。彼女とは大学1回生まで付き合うことになる。付き合うきっかけは彼女からの積極的なアプローチだった。

 押しが強く面倒見が良い、自分をしっかり持っている誰が見ても魅力的な人物だった。当時の私は顔は整っている方で背も高く、また、幼少期に備えた人当たりの良さでやはり高校においても非常にモテた。彼女は地元で評判の美人であったことから、「人生は簡単」という認識に拍車がかかるばかりであった。

 そうした高校生活の中で私は大きな罪を犯してしまうことになる。