【幼虫】7話〜彼女〜

「私はずっと応援してるから」

 堕胎後も彼女は変わらなく優しくしてくれた。ずっと私の世話を焼いてくれた。そうして高校三年生になり進学が視野に入ってきた。

 付き合い始めたときに私が何となく「専門学校にいって美容師になる」と話していた際に、彼女は「じゃあ私もスタイリストになるね」と笑って話していた。学校の教師はみなが反対していた。何故なら彼女の成績が極めて良かったからである。結局、彼女は美容師の専門学校に進学した。

 それにも関わらず当の私は関西の大学に進学した。彼女に話した美容師のことなんか忘れていた。高三の秋、進路について彼女に話したときには、「え?美容師になるんじゃないの?まあいっか。私はずっと応援するからね」といつも通り笑っていた。
 
 そうして、彼女と迎えた三度目の春、私は大阪の街に移り住んだ。